バーボン編は長期連載の原因?

1. バーボン編とは?

バーボン編とは、一般に60巻から85巻までに収録されているエピソード全体のことを表し、黒の組織の新たな刺客として紹介されたバーボンは誰か?ということがメインの謎になっている。ここのシリーズで、沖矢昴(60巻から)世良真澄(73巻から)安室透(74巻から)という人気キャラクターが大勢登場する。近年コナンを楽しむ上での重要なシリーズと言っても過言ではない。

2. 本題

先に結論から述べさせてもらうと、バーボン編を経て『名探偵コナン』という作品は、良く言えば物語に厚みがついたのだが、その代わりに長期連載の遠因となったと私は考えている。そしてその主な理由は、

結局バーボンが味方だったから

ということに尽きるだろう。

ジンやベルモットなどの組織の純メンバー(スパイではない人)の素性が明かされればコナン側にとって有力な手がかりになりうるが、味方の素性を明かしてもあまり有益情報は得られない可能性が高い。連載期間が長いだけに、バーボン編は組織の重要情報の密度が少なかったという印象がある。

また、比較的自由に行動が取れるという点で、安室透は同じ立場の水無玲奈の完全上位互換のキャラであり、その役目を完全に食ってしまうという可哀想な事態を生むことにもなっている。(水無さんは純黒の悪夢では肩を打たれただけ。。。)

その上、ハイスペックイケメンという掘り下げたくなるようなキャラの良さ。ここに赤井秀一の復活というコナンサイドの味方を大幅に強化するという結果になったのがバーボン編の結論だ。その後の布石のためか、80巻で羽田秀吉、83巻ではメアリー世良を出し、赤井ファミリーの掘り下げの下準備も施されていた。

このようなコナンサイドの強化の背景にあるのは、映画を毎年公開しなければいけないことにあると思っている。要は、こだま監督降板後の暗黒期の際に既にマンネリ化を指摘する声もあったため、新たな雰囲気の作品を公開し続けるために掘り下げたくなるキャラを大量投入したということである。

そして毎年の映画のネタを用意したということを仮定すると、バーボン編は長期連載を本格的にしようという意思の表れとも解釈でき、引いては安室透を敵として登場させなかった本当の理由なのではないかと考えている。

(作者的には書いているうちにかっこいいと思ったから。確かにかっこいいですが笑)

私はどちらかと言えばコナンの最終回を早く知りたいと思う派なので、キール編の後にいきなりラム編、そして最終章という流れが私の理想だった。そうすればちょうど今くらいに終わっていたかもしれない。(キリよく100巻で完結とか)

バーボン編をやるにしてももっと短くて良かったし、どうせやるなら悪役として登場させて欲しかった。強い味方は赤井さん、情報源は水無玲奈。当然これが現実の話なら味方が多い方が良いのだが、漫画を見ている身としてはキャラは一人で十分である。

3. 結論

色々と時には批判的な内容を述べたこともあったが、それはあくまで結末を知りたいという立場から見た時のバーボン編の意義に対する意見であり、文中でも述べた通り間違いなく現代のコナン人気を作った大切な時期である。私自身も小学生の頃にミステリートレインをリアタイしている根っからのバーボン世代であり、このシリーズに対する思い入れは強いことは忘れないでほしい。